ここでは、DreamcastエミュレーターのDEmulの使い方を説明しています。
DEmulにはBIOS(バイオス)と呼ばれるファイルが必要なため、実機を用意して吸い出す必要があります。しかし、そのためには必要な機材を揃えた上に、吸出し用のディスクを作成しなくてはなりません。
Flycastを利用すればBIOSファイルなどは必要ありません。ゲームディスクの吸出しも必要な機材を購入した時の付属CDを利用して簡単にできますので、ここを読んで難しそうと思えた場合は、Flycastの利用を検討してみてください。
2023年2月18日追記
Dreamcast用SDカードアダプタが新しくなっていましたので、それに対応しました。
2024年8月9日追記
吸出し用のDC SD Rip ver.1.1の起動ディスクがどうしてもうまく焼き込めない人のために、起動確認したcdiイメージファイルを用意しました。
2024年8月21日追記
こちらがあらかじめ用意したcdiイメージファイルを利用し、吸出しディスクを作成するように記事を変更しました。これによって、作成手順を大幅に簡略化しています。
最初に、必要な機材をそろえます。箇条書きにしますと、以下のようになります。
以上の5点です。
このうち、MIL-CD対応のDreamcast本体というのは、一定年度以前に製造された本体です。詳しくはこちらを参照してほしいのですが、本体裏面の製造番号を見れば分かります。ただ、型番を見る方法は完璧ではありません。といいますのも、本体を修理に出した場合、MIL-CD対応の本体が非対応になって帰ってくることがあったそうですので。こればかりはCDを起動してみないと確認できませんので、運試しと思って挑戦してみてください。
DreamcastはGD-ROMという特殊な規格のディスクを採用しているため、吸出しには本体が必要です。そしてこの時、吸出し用のツールをCD-Rに焼いてから起動するのですが、MIL-CD対応の本体でないと起動できません。
なぜこのようになっているかというと、MIL-CD形式のCD-Rは違法コピーにも利用されたためです。そのため、後期型番では対策が取られており、起動できません。
2023年現在、私の地元で調べてみた限りでは、初期型のMIL-CD対応の本体も割と売っていました。対策が取られたのが結構遅かったため、MIL-CD非対応の型番のものはそれほど多くは出回っていないようです。ですので、頑張って探してみてください。
Dreamcast用SDカードアダプタというのは、本体後ろのシリアルポートという差込口を利用してSDカードを読み書きする機材です。こちら等で比較的安価に購入できますので、用意しておきましょう。
実物は以下のようなものです。後ろの部分にSDカードを差し込んで使います。ちなみに、SDカードの表(印刷されている面)が下になるように差し込みます。
ちなみにCDが付属してきますが、ここでは使いません。
このCDはDreamShellというツールを起動するためのものなのですが、それを利用してもBIOSファイルなどが吸い出せません。DEmulではそのファイルが必須なため、別のツールを自力で作成して吸い出します。
実機に差し込んだ場合の画像は、以下のようになります。アダプタは割としっかりと本体に差し込まないとうまく認識しませんので、ぐっと押し込みましょう。
次に用意するのが、2Gバイト以上のSDカードとSDカードリーダーです。吸い出したデータをPCとやり取りするのに使います。2023年現在では、2G等の低容量すぎるものはかえって高額になるようです。8Gのものが一番安かったので、余っているカードがない場合は購入しておきましょう。逆に32G以上の大容量のものですと、後述するFAT32フォーマットがやりにくくなるため、この際8Gのものを購入しておきましょう。数百円程度で売っていますのでお財布にもやさしいですし。
なお、紹介したSDカードアダプタでは、まれに相性の問題が発生するようです。私の手持ちで確認したかぎりでは、IOデータの8Gのものと、Transcendの2Gのものでは問題なく動作しました。
空のCD-Rはそのままです。80分または700MBのものを家電量販店で購入しておきましょう。これ以下の容量の古い規格のものはもう売っていないとは思いますが、一応確認しておいてください。また、20枚ぐらいまとめて買っておくことをおすすめします。といいますのも、焼きこみに何度も失敗するので、リトライのために必要になります。
本稿おすすめのPS4コントローラーを使う場合は、追加でPS3かXboxのコントローラーが必要になります。これは、どうやってもPS4コントローラーではボタン設定が一部できなかったためです。ですので、エミュレーターをごまかして設定するために用意します。これらのコントローラーが既に接続されている場合は、さらに追加購入してください。追加購入しなくてもできなくはないと考えられますが、作業手順が複雑化します。
以上で準備するものについては終わりです。続けて、吸出し環境を整えるための、各種ソフトのダウンロードと設定について説明します。
最初に、7-Zipというフリーソフトをダウンロードし、インストールします。
これは、DEmul本体が7z形式と呼ばれるもので圧縮されているため、それを解凍するためのソフトです。
こちらにアクセスします。「64ビット Windows x64」となっている所からダウンロードします。なお、最新版はバージョン番号かリリースの日付を見れば分かりますので、最新版をダウンロードするようにしてください。
2024年8月21日追記
Windows11では、7z形式がOSの標準機能としてサポートされています。ダブルクリックすれば中身が見えるようになっていますので、Windows11を利用している方は、このインストール作業の必要はありません。
インストールは、ダウンロードしたファイルをダブルクリックで起動するだけです。デフォルトのままインストールして構いません。
吸出しツールの起動ディスクを焼きこむためにImgBurnをインストールし、その後にアドオンのPadus .CDI File Mounterをインストールします。
まずこちらにアクセスし、少し下にスクロールするとImgBurnのダウンロードボタンが出てきます。
ダウンロードは下側のミラーサイトのものをお勧めします。上側を選んでも、どのみちどこかのミラーを選択する画面に移りますので。
以下の画面が出ますので、「Download Now」のリンクを押してダウンロードします。
続けて、インストールと初期設定を行います。
ダウンロードしたファイルをダブルクリックして実行し、ほぼデフォルトの状態でインストールすればOKです。英語がずらずらと表示されますが、「Next」を押していけば構いません。
以下に注意が必要な所だけ、掲載しておきます。
この画面がでたら、左下のチェックボックスに印を入れます。そうしないと、「Next」ボタンが出てきません。
ここの英語の意味は、使用許諾契約に合意しますという意味ですので、合意しませんとインストールできません。
また、インストール途中に以下の画面がでてくるかと思います。
これは、ImgBurnの最新のバージョンの情報を見ますか? という意味なので、どちらを選んでも問題ありません。
ただ、「はい」を選択すると英語のWebページが開きますので、英語を見たくないという方は「いいえ」を選択することをお勧めします。
進めると、以下の画面がでます。
セットアップが終了しましたという意味ですので、「Finish」ボタンを押して、インストールを終了します。
続けて、Padus .CDI File Mounterプラグインのインストール作業に移ります。
こちらにアクセスし、かなり下までスクロールすると対象の項目が出てきます。
下のスクリーンショットの「Mirror 1」となっている部分をクリックし、ダウンロードします。
zip形式の「pfctoc.zip」がダウンロードされていますので、ダブルクリックして中身を表示し、ImgBurnのインストールフォルダの直下にコピーするだけです。
なお、ImgBurnのインストールフォルダは、デフォルトであれば「C:\Program Files (x86)\ImgBurn」です。
ここまでにインストールしたツールを使い、ここで吸出し用の起動ディスクを作成します。
まず、こちらをクリックして、cdiイメージファイルと呼ばれるものをダウンロードします。
続けて、インストールしておいたImgBrunを起動し、「Write image file to disc」の部分をクリックします。
画面左上の「Source」となっている部分の「Please select a file」の部分の右にあるフォルダマークのボタンを押し、ダウンロードしておいた「dcsdrip11.cdi」ファイルを選択します。
次に画面左下のファイルからディスクのマークが書かれているボタンを押し、焼き込みを開始します。
この作業は、まれに失敗することもあるようです。
焼き込みに失敗しているかどうかは、ドリームキャスト本体にこのCDを入れてみるまで分かりません。起動に失敗した場合は、以下の画面が立ち上がるようになり、CDが読めない状態になっています。
この場合はまた同じ操作で焼き直し、ディスクを交換します。なお、実機の再起動は必要ありません。
ディスクを交換して読み込みが終わったら、先ほどの画面で「プレイ」を選んで「A」ボタンを押します。そして、以下のように表示された場合は焼きこみに失敗していますので、再度焼き直してセットし直してください。
私が確認したわけではないのですが、寄せられた情報によりますと、ウィルス対策ソフトが邪魔をして焼き込みに失敗する例もあるようです。
マカフィーのアンチウィルスソフトをアンインストールしたら焼き込めたという情報でしたので、参考にしてみてください。
ここでは、先ほど作った起動ディスクを使い、BIOSファイルとFLASHファイルを吸い出す手順について説明しています。
DEmulだけの使用であればFLASHファイルは必要ないのですが、本稿ではFlycastとの併用をおすすめしていますので、ついでに吸い出しておきましょう。大した手間ではありませんので。
まず、用意したSDカードをFAT32形式でフォーマットしておきます。
カードリーダーにSDカードを差し込み、エクスプローラーで該当するドライブを右クリックしてから「フォーマット」を選択します。
「ファイルシステム」に「FAT32」を選択し、「開始」を押します。なお、この操作を行うと指定したドライブの内容は全て消去されます。くれぐれもお間違えのなきようにお願いします。
起動ディスクがきちんとできている場合、以下のような画面が立ち上がります。
まれにSDカードの相性問題が発生するようですので、最初だけ認識できているか確認しておきましょう。
「SD card info」を選択して「A」ボタンを押します。
「SD card set and hit (A) button」と表示されたら、カードアダプタやSDカードがきちんとセットされていることを確認し、「A」ボタンを押します。
認識されていれば、「SD card info:」から始まる英語がずらずらと表示されます。「not found SD card.」と表示される場合は、アダプタやカードの接続を確認し、リトライしてください。特にSDカードアダプタは、思ったより深く差し込まないと認識しません。どうしても認識しない場合は、SDカードのメーカーを変更して買い直すしかありません。
「hit any button」と表示されたら適当なボタンを押して元に戻ります。
認識されていることを確認したら、「BIOS ROM」を選択して「A」ボタンでBIOSファイルの吸出しを開始します。先ほどのSDカードの確認時と同じような内容が表示されますので、指示に従って「A」ボタンなどで先に進めていきます。
同じようにして「FLASH MEMORY」も選択し、吸い出します。
これでSDカードにbios.binとflash.binというファイルが作成されます。PCに転送して大切に保管しておいてください。
以下の画面例は、どちらも吸出した後の画面です。
BIOSなどの吸出しで利用したDreamcast SD Ripを使い、ゲームディスクもSDカードへ吸い出します。
BIOS吸出しの時の画面で、「GD-ROM <bin> all tracks」を選択して「A」ボタンを押します。
ちなみに、ここで<iso>の方を選択してもほぼ同じです。吸い出されるデータがbin形式かiso形式かの違いしかなく、どちらでも問題なく使えます。all tracksを選択するところだけ注意してください。
後は画面に従って「A」ボタンなどを押して進めるだけです。以下の画面例は、吸出しが完了したときの画面です。
なお、この時に「not enough disc space.」と表示された場合は、SDカードにゴミデータが残っていて空き容量が不足しているか、FAT32フォーマットされていないか、ディスク内容が破損しています。PCのSDカードリーダーに接続し、不要なファイルを削除したりしてください。
吸い出したデータをPCへ保管する場合は、コピーではなく移動するようにしてください。これは、吸出しツールが同名のファイル名とかを考慮せずに空き容量を計算しているため、容量不足と判定されるのを防ぐためです。
また、吸い出したデータはすべて同じファイル名になりますから、ディスクごとにフォルダを作り、フォルダ名で管理します。
DEmulだけを使う場合はこれだけでいいのですが、Flycastも使う場合はもうひと手間必要です。
といいますのも、Flycastではファイル名の最後が「.gdi」となっているもののファイル名を表示するのですが、このままではどのディスクでも「disc.gdi」となってしまい、区別がつきません。
そこで、「disc.gdi」のファイル名を「(ゲームディスクの名前).gdi」に変更します。
この画面例ですと、「サクラ大戦 DISC1.gdi」にしています。
ここでは、DEmul本体のインストールと設定を行います。
まずこちらにアクセスし、「Latest version」のところにある、「DEmul x86 v0.7 BUILD 280418」をクリックしてダウンロードします。
インストール方法はとても簡単です。吸出し前にインストールしておいた7-Zip File Managerを使って解凍し、適当なフォルダに全てコピーするだけです。後は、実行ファイルであるdemul.exeのショートカットをデスクトップに作っておくと良いでしょう。
2024年8月21日追記
Windows11では、ダブルクリックすれば中身が表示されますので、そのままコピーしてください。
起動する前に初期設定を一部行います。
BIOSファイルをDEmulで扱える形にします。といっても、zip形式で圧縮し、指定されたフォルダにコピーするだけです。なぜかはわかりませんが、圧縮した状態でないとDEmulは読み込んでくれません。
なお、Windowsの初期状態では「.zip」の部分のファイル名が見えません。こちらなどを参考に設定しておいてください。
圧縮する方法は簡単です。Windows10には標準で搭載されていますので、bios.binファイルを右クリックし、「送る」メニューから「圧縮(zip形式)フォルダー」を選択するだけです。なお、この時できるファイル名は、dc.zipに変更しておきます。これをしないと認識してくれませんので。
DEmulのインストールフォルダの下にromsフォルダを作成し、そこにこのdc.zipファイルをコピーしておきます。
次に、demul.exeを起動します。その時、以下のような警告メッセージがでますが、かまわず「OK」を押します。これはBIOSなどの設定ができていませんという意味です。
そうすると、以下の画面が開きますので、「GD-ROM plugin」の所に「gdrImage」を選択し、「OK」ボタンを押します。
ちなみに、この画面を誤って閉じてしまった場合は、「Config」→「Plugins and Paths」で開けます。
「Config」→「Dreamcast BIOS」→「Dreamcast v1.004 (Japan)」を選択します。
「Config」→「Dreamcast Region/Broadcast」を選択し、「Japan」と「NTSC」にチェックを付けます。
なお、ここの設定などを間違えていたり、biosファイルの設定が正しく行われていなかったりする場合は、ゲームの起動時に以下のようなエラー等が表示されます。その場合は設定を見直してください。
「Config」→「Controls」を選択します。
「Dreamcast」の[Joy 1]を押して設定画面を開きます。
PS3コントローラーやXboxコントローラーなどではそのまま設定していけばいいのですが、PS4コントローラーではジャイロ機能により、設定時に傾きが優先して入力されてしまいます。他のエミュレーターでは、平らな机などにおいてからOSを再起動すればいけたのですが、DEmulでは、どうやってもデジタルパッドの部分だけがうまく設定できませんでした。
そこで、PS4コントローラーを使いたい場合は、以下のように小技を使って強引に設定します。
まず、PS4コントローラーを外します。無線接続している場合は、プレステマークのボタンを10秒押して電源を落とします。
次に、追加購入したPS3かXboxのコントローラーを接続し、いったんOSを再起動します。そしてそのまま設定します。
画面右側の「Extended Controllers buttons」の部分は、特に設定しなくて構いません。
設定が完了したら「OK」を押し、DEmulを終了して設定を保存し、PS3/XboxコントローラーをはずしてからOSを再起動します。
そして、PS4コントローラーを接続しなおします。
これは、DEmulがコントローラーをOSに接続された順番で認識していることを利用した迂回設定方法です。こうすることにより、設定時はPS3/Xboxコントローラー、ゲームをするときはPS4コントローラーが使えます。PS4コントローラーとこれらのコントローラーは、ボタンの番号が同一なためにできる裏技です。
次に、ゲームディスクをあえて指定せずに一回起動し、設定画面を日本語化します。
すでにゲームを起動してしまったせっかちなあなたは、ディスク選択画面で「Eject」を選択すればクリアされます。
「File」→「Run Dreamcast」を選択し、起動します。
以下のような画面が開きますので、「Settings」を選択して「A」ボタンを押します。
「Language」を選択して「A」ボタンを押し、以下の画面を開きます。
「日本語」を選択して「A」ボタンで決定します。これで設定画面が日本語化されたかと思います。セーブデータの管理などにお使いください。
なお、「Config」→「Video」と進めば、起動時の画面サイズなどを変更できます。
ゲームの起動は以下のようにします。
「Config」→「GD-ROM」と選択します。
右側の「Select」を押して選択画面を開き、ゲームフォルダの.gdiファイルを指定して「OK」を押します。
あとは設定画面の起動と同じく、「File」→「Run Dreamcast」を選択すれば起動できます。
なお、DEmulにはステートセーブ(どこでもセーブ)機能がありますが、デフォルト設定のままでは動作しません。
「Config」→「Controls」と進み、「SAVE STATE」と「LOAD STATE」ボタンを押して設定してください。そのキーを押せば使えるようになります。
ここでは、DEmulとFlycastでのセーブデータの共有方法について説明します。
どちらもセーブデータファイル自体は全く同じものですので、リネームして放り込むだけです。
DEmulの場合は、memsavesフォルダの下のvms00.binとvms10.binがそれぞれポートA,ポートBのセーブファイルになります。
Flycastでは、dataフォルダの下のvmu_save_A1.binがポートAの一番目のメモリーカード、vmu_save_A2.binがポートAの二番目のメモリーカードにそれぞれなります。
DEmulは簡単にウィンドウモードで利用できるのですが、高画質化の機能が実装される前に更新が停止しています。
それに対し、Flycastは高画質化機能があり、2023年2月現在も開発が継続しています。
ですので、高画質で全画面表示がしたいなどの場合はFlycastを、ウィンドウモードで表示サイズ変更がしたい等の場合はDEmulなど、使い分けをすると便利です。
また、若干数のタイトルが片方でないと起動しませんので、その意味でも使い分けしましょう。
以上で設定は終わりです。お疲れさまでした。
それでは、快適なDreamcastエミュレーターの世界をお楽しみください。