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SOLID STATE ANGEL

第55話 対02戦闘訓練

 俺は自分の小隊のメンバーを集め、その場で02を真正面から撃破する作戦について説明した。

「すまない。みんなを最も危険な任務にだまって巻き込んでしまって」

 俺がそう謝罪すると、セシィが何を言っているんだという顔で指摘を始める。

「ジェフがご指名で狙われているこの状況だぞ? 逃げる以外に方法がないんならともかくだ」

 そう前置きをしてから、みんなの気持ちを代弁してくれるセシィ。

「簡単に仲間を見捨てて、自分だけが助かろうとするような薄情なヤツがここにいるって、本気でそう思っているのなら、殴るぞ?」

 ウォルターも同意見のようで、ウンウンと頷いてくれている。

 ただ、セシルはこの作戦に反対だった。できるだけ危険な状況を避けてほしいと、何度も繰り返し懇願された。

 しかし、あの02にロックオンされている状態で、俺だけが逃げ切れるとはとても思えない。俺は兵士で、前線からは逃げられないのだから。

「俺を危険から遠ざけたいのであれば、セシルは可能な限り本気で俺を鍛えてくれ。鍛えてくれたらくれるほど、俺が死ぬ確率が減り続けるんだからな」

 俺のこの説得で、しぶしぶながらセシルが任務を引き受けてくれた。

 こうして開始された訓練では、俺の小隊のメンバーに加え、ブライアンにも参加してもらっていた。

 セシルに仮想02の役をしてもらうため、本来のセシルの代役としてブライアンに連携訓練をお願いしたのだ。彼はグラディエイタースタイルの多脚戦車乗りとしてはセシルとセシィに次ぐ実力であるため、適任だったからだ。

 そして決定された陣形では、俺が正面を受け持って防御に徹し、02が剣を持っている右腕側をセシルの担当とした。セシィには02の左腕側を担当してもらい、ウォルターはその背中側でタイミングを計ることになった。

 左右のセシィとセシルには、俺の防御の負担を減らすため、主にけん制の一撃を繰り出してもらい、ウォルターは隙を見て必殺の一撃を繰り出してもらう。

 ただ、当然ながら、多脚戦車に比べると02の体は随分と小さい。その差を埋めるため、仮想02役のセシルの機体の前後左右に小さめのマークを付け、そこ以外には攻撃しないようにして工夫した。

 また、直接体を動かす02とは違い、セシルの多脚戦車は操縦というワンクッションがどうしても必要になる。そのため、速度的には劣るだろうという予想のもと、セシルには速度を重視した攻撃を繰り返してもらった。

 さらに、多脚戦車のチューンナップも、同時に技術開発部にお願いしていた。少しでも有利な状況になるように、オルランドI型をさらに改造してもらったのだ。

 この改造はできるかぎり反応速度重視で行ってもらい、みんながギリギリ操縦できるレベルにまで改良してもらった。

 ただ、訓練と同時並行で行ってもらう必要があったため、連日ヘトヘトになるまで訓練を行ったのちに機体の感想を述べ、俺達が泥のように眠っている間に改良してもらっていた。

 連日の徹夜仕事を頼んでいる技術開発部のメンバーには申し訳なかったが、02を放置しておくと戦死者が量産されてしまうからと、文句も言わずに作業を続けてくれていた。

 こうして開発されたオルランドI型改を使い、訓練を重ね、機体性能についていけるようになるとさらに改良してもらう。

 そんな毎日を重ねているうちに、あっという間に一週間が過ぎ去り、俺達はなんとか02に対抗できるであろうと思われる反応速度を習得していた。

 訓練が無事に終了したことを上層部に報告し、俺達はこのところ連日02が襲来している地獄の最前線へと向かった。

 さあ、02狩りの時間の始まりだ。