先祖返りの町作り(再調整版)
第176話 産業の父
魔力ジドウシャが実用化された事により、魔道具のモーターの注目度が高まっていた。
ちなみに、私がこれを初めて見たのはルツ親方の試作品であったため、ずっと「回転の魔道具」とか、「もーたーの魔道具」等と言っていた。
しかし、この呼び方は平民達の間では少数派の模様で、一般的には「魔力もーたー」と呼ばれているようだ。一方、電動式のものはそのまま「デンキもーたー」と呼ばれている。
魔力もーたーが注目され始めると、私がかつて作成した応用製品にも注目が集まるようになっていった。
代表的なものだけでも、デンドウのこぎり、コネキの魔道具、レンズ用の研磨機、魔力ジドウシャが挙げられる。
一般販売はしてないが、上水道のぽんぷもある。私は作っていない旋盤も、注目されている。
見向きもされていない例外は、みきさーの魔道具くらいである。
もっとも、これはデンキもーたーを使った製品が、既に一般販売されている。かつての問題であった、高額すぎる価格が解消されたため、家庭用の調理器具として広く使われている。
その結果、魔力もーたーは、産業用の機械の動力源として有用であると、認識されるようになっていった。
その流れに乗り、ダイガクでも様々な研究室で、工作機械への応用研究が盛んに行われるようになっていった。
その結果、いち早く魔力もーたーの有用性に気付いた、私への評価も上がる事になったのである。
ちなみに、ダイガクには、現在若干名の魔導士が在籍している。
魔法式の改良ができると、トッキョ料で簡単に安定収入が得られる事が私で実証されたため、貴重な魔導士が研究者に加わってくれたのである。
魔導士達をダイガクに招くきっかけを作った事も含め、次第に私は、新産業の立役者として褒め称えられるようになっていった。
そして、私には新たに「産業の父」という、大変名誉な二つ名が増える事になったのであった。