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先祖返りの町作り(再調整版)

第145話 最初の火種

 この頃になると、ダイガクでの研究成果が徐々に実用化され始め、ガイン自由都市とその他の領地の間で、技術的な格差が広がりを見せていた。

 しかし他の貴族達は、下賤な平民と森の蛮族が考えた下等な発明と見下し、決して新技術を取り込もうとはしなかった。

 そのため、経済的な格差も広がっていくのである。

 例外は、ガイン自由都市との取引が急拡大しているセネブ村くらいのものである。セネブ村は空前の好景気に沸き立っており、その潤沢な資金を利用した開発がすさまじい速度で進行していた。

 そのため、近いうちに町に発展するだろうともっぱらの評判である。

 これらの要因により、ガイン自由都市へと移住を希望する平民が後を絶たなくなっていた。

 それを面白く思わない貴族達は、次第に移住を制限するようになり、平民達への締め付けを強化していった。

 しかしその結果、徐々に平民達の不満がくすぶり始めるのである。

 最初は小さな火種であったが、長い年月をかけてだんだんと大きく成長し、やがて巨大な炎となって燃え上がるのである。

 後になって振り返った時、ここが平民と貴族の対立の分岐点であり、原点となるのであった。