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先祖返りの町作り(再調整版)

第139話 上下水道

 カズシゲが領主に就任して、4年ほどが経過した頃。

 この頃になると、ヘイズさんはすこっちとぶらんでーを完成させており、ガイン自由都市の新たな特産品として、生産と取引が開始されていた。

 また、ルルさんは、ケンビキョウとボウエンキョウの研究を完成させていて、一般販売が開始されていた。

 私は完成したボウエンキョウを見た時、ずっと作りたかったものの建設計画を発動させた。

 下水道の施設である。

 小型のボウエンキョウがあれば、簡単な測量機が作れる。

 そして、ガラスの筒に、水と少量の空気を密閉すれば、水平器も作れる。

 水平器は、この筒を横にした時、密閉された空気の泡が中央に来た時が水平になる、簡単な測定器である。

 三角関数等の基礎数学の知識もあるため、三角測量の原理も説明しやすい。

 ただ、いきなり下水道を設置するには、いろいろと基礎技術が足りていないため、まだ技術的に簡単な、上水道の施設から開始する事を決めた。

 北の小川の上流側に上水道の取水口を建設し、下流側に下水道の排水口を設置する予定である。

 ただ、当たり前の事であるが、水は高い方から低い方へしか流れないため、上水道の取水口にはそれなりの高さが必要になる。

 そのため、かつてルツ親方に没にされた電動ポンプの設計図を引っ張り出し、それを大型化させて設置する事にした。

 連続稼働が必要になるため、私の自作の魔石を搭載する予定である。

 そうやって、入念に準備を進めてゆき、予算枠も確保して、本格的に上下水道の建設計画がスタートした。

 領民達は、まさか平民の一般家庭にまで下水道を設置するとは夢にも思っていなかったようで、さすがは平民の首都の領主様ご一家だと、喝采を浴びせてくれた。

 また、上水道とはいっても川の水であるため、生水の取り扱いには注意するように、説明が何度も徹底して行われた。

 こうやって、領民達の積極的な協力のもと、建設工事は順調に進んでいった。

 しかしそれでも、この都市の人口もかなり増加していたため、全世帯に設置が完了するには、実に20年以上の歳月を必要としたのであった。