先祖返りの町作り(再調整版)
第123話 デンリュウ原器
秒の単位を決定した私は、次に電流の単位を定義するための準備にとりかかった。
最初に行ったのは、重力加速度の計測である。これができると、質量と重力の関係式が得られ、バネによる力の単位の計測器ができる。
鉄球を自由落下させ、その秒数を、すとっぷうぉっちの魔道具を使い正確に計測する。
何度も繰り返し行い、重力加速度の平均値を求めた。こうやって求められた重力加速度は、地球と同じであると仮定するならば、長さの単位である1ベクは、やはり、1.2メートルと少しであろう事が判明した。
ただ、これはあくまで予想である。なぜならば、秒の単位がどれだけズレているかが不明なためである。
そして、次に行ったのは、直流電流を発生させるための電気モーターの作成である。これは、工作難易度を考え、二極式モーターと呼ばれる最も単純な形式のものを採用した。
永久磁石を左右に配置し、その中心部に2つのコイルを作る。
そして、軸受けの部分に接触部を設けて、軸が半回転した時にプラスとマイナスが入れ替わるようにする。
こうやって作成した「デンキもーたー」に回転の魔道具を接続し、簡単な発電機を作った。
あとは、2本の平行な銅線に電流を同じ方向に流し、引き合う力を計測すれば、電流の単位が決定できる。
アンペアの定義さえできれば、あとは扱いやすいように、電気抵抗の単位であるオームを決定し、電圧の単位であるボルトも求められる。
そうやって、電気の単位を次々に決定していった。
これは少し先の話になる。
私がここで作成したデンキもーたーを使ったハツデンキは、やがて大学で電気を教える時の基準となる。
そして、ここで開発した簡単なハツデンキはデンリュウ原器と呼ばれ、ずっと大切に保管されるようになるのである。