Novels

先祖返りの町作り(再調整版)

第77話 メイの結婚式

 私達の里帰りから、しばらくたった頃。

 メイは気持ちの整理がついたのか、ゴランさんを恋人として紹介してくれた。

 その時の婚約の許可を取った際に、

「あなたは私がいないとダメそうだから、結婚してあげるのよ? 感謝しなさい」

 と、メイは言っていたが、幸せそうな表情で言っても説得力がなかった。

(以前から思っていましたが、メイはいったい、どこのツンデレヒロインさんでしょうか?)

 私はそんな感想を抱いていた。

 エルクは最初、メイをゴランさんの実家に嫁入りさせるつもりであったが、ゴランさんの実家が遠慮したため、急遽、領主館の近くに二人の新居を建設中である。

 メイも既に21歳になっており、年齢を考えて、婚約期間は2か月と短めに設定された。

 そして2か月後。メイの結婚式が始まった。

 私は、幸せそうに花嫁衣裳を着ているメイを見た後、必死に勉強したゴランさんをねぎらうために、彼の控室を訪れた。

「ゴランさん。ご結婚おめでとうございます。やはり、2年にもわたって勉強したのは、無駄ではなかったですね」

「おじい様! ありがとうございます! あなた様のおかげで、今の私があります!!」

 ゴランさんは、既に感極まって泣いてしまっている。そんな彼に、私はさらに幸せになって欲しくて、さらなる努力を勧める。

「メイは頭の良い殿方が理想ですから、さらに勉強すれば、もっと惚れてくれて、もっと幸せな結婚生活が送れるとは思いませんか?」

「はい。私もそう思います」

「では、また勉強したくなったら、いつでも私を訪ねて来てください。もうそろそろ、高等学校も開校するはずですから、その内容も合わせて教えますよ」

「ありがとうございます! おじい様! 必ずメイを幸せにして見せます!!」

 メイを心から愛しているその姿に、私はとても心が温かくなり、泣きじゃくっているゴランさんを見てから、そのまま退室した。

 そうして結婚した二人であったが、新居の建設が間に合わなかったため、今は領主館の一室で、幸せな新婚生活を送っている。