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先祖返りの町作り(再調整版)

第64話 初ひ孫と成人したメイ

 エストの結婚式から2年が経過した。

 つい最近、ローズさんは待望の第一子を生んだ。生まれた子供は女の子で、ネリアと命名された。現在0歳の玉のような赤ちゃんだ。

 私にとっては、初めてのひ孫である。

 エルクとルースは初孫をとても喜び、現在では、二人で競い合うように熱心にネリアの世話を焼いている。

 エストは、いつか再び私の里まで旅行し、自分の新しい家族をひいおばあ様に紹介したいそうだ。ただ、さすがに魔物の領域を突破する街道に、幼い孫を送り出す許可をエルクは出さないだろう事は理解しており、奥さんだけでも紹介したいらしい。

 少し賑やかになったガイン一家は幸福に包まれ、暖かい笑い声が絶えなくなっている。

 ネリアの誕生と時期を前後してメイは16歳となり、成人した。

 私にとっては少し残念な事に、メイは年齢を重ねると、あまり魔道具には興味を示さなくなっていた。

 不治の病と大変失礼な事を考えていたが、ブラコンも完治したのか、メイは恋人候補をようやく私に紹介した。

「おじい様。この殿方を教育してください。できるだけ厳しくお願いします」

 この男性、ゴランさんという。

 現在17歳の、かなりがっしりとしたイケメンである。茶髪を短く刈り込んで少し日に焼けた、健康的な体つきをしている。

 メイによれば、あくまでまだ恋人候補であり、恋人ではないらしい。そこにメイのこだわりが感じられたので、特にツッコミは入れていない。

 成人したメイはとても美しく成長し、かなり男性にモテるらしい。

 エルクは、メイが結婚して独立した時点で、自分の貴族権限を使ってメイを一代限りの名誉貴族にするつもりのようだ。

 ただ、この噂が広まってしまった結果、少し困った問題も発生している。

 次期領主のエストが平民を平然として嫁に迎え、領主もその家族も、誰もそれに反対しない様子を見た一部の領民は、逆玉の輿をねらってメイに近付くものが現れ始めた。

「殿方のほとんどは、私の貴族の地位が欲しいだけです。下心が簡単に透けて見えますわ。その中では、このゴランはかなりマシだったのです」

 メイによる、ゴランさんへのかなり失礼な評価である。

 ただこのゴランさん。メイにぞっこんな様子で、メイの自宅に招かれただけでもデレデレである。

 私はメイがいない間に、ゴランさんに発破をかける。

「ゴランさん。メイはツンツンした態度を取っていますが、私は十分に脈はあると思っていますよ?」

「先代様もそう思いますよね!」

 ゴランさんは、既にその気になっているようだ。

「ただ、メイの理想の殿方はお兄様です。頭が良くて強い人が理想だと、周囲には常々言っているでしょう? エストほど頭が良くなるためには、かなりの努力が必要なはずです」

「全力で努力します!」

 私は微笑みながら、努力をさせる方向に誘導して行く。

「あのエストでさえ数年がかりで覚えた内容を、私は2年で、あなたに教えるつもりです。かなり厳しく教えるつもりですが、覚悟は良いですか?」

 私は少し、脅しをかける。その後、バラ色の未来を提示し、頑張らせる事にする。

「あなたがもし、2年で私の教育を完了すれば、メイもあなたを見直して、もっと惚れてくれるはずです。

 そうすれば、メイと所帯を持つ事も可能でしょう。かなり険しい道ですが、やる気はありますか?」

「もちろんです! 未来のおじい様!」

 既におじい様呼ばわりはちょっと行き過ぎのような気もするが、あえて無視する事にする。

 こうして、私とメイによる理想の殿方育成計画は発動した。

 メイが婚期を逃さぬように、私は本気で、2年で教育するつもりである。