先祖返りの町作り ~無限の寿命と新文明~
第229話 出陣前の演説
それからの私は、いろいろな準備に奔走していた。
集まってきた傭兵たちを纏め上げ、軍として再編成していった。そして、付け焼刃ではあるが、連携訓練も可能な限り積極的に行っていた。
「各個人でバラバラに戦っていたのでは、連携した貴族軍を相手にしますと、それぞれ個別に撃破されてしまいます。よって、規律を重視し、指揮命令系統を整え、軍団として纏まって、戦力の集中運用をすることこそが、大規模な戦争で勝てる方法なのです」
このような内容を、私は口を酸っぱくして繰り返していた。
実例として、ガイン自由都市軍の見事な連携を見せることで、納得してくれた傭兵たちも多かったようだ。
こうして、半年後になると、反乱軍が何とか形になっていた。
そして、今日。
いよいよ、出陣の日が来た。
ユキムラから総大将に任命された私は、集結した反乱軍の全軍を前に、演説を始める。
ずっと一人で考えていた内容を、まいくとすぴーかーを無視するような大声で、熱く語りかける。
まず、手始めに、平民に新しい名前を与える。
「みなさん! 私たちは、最早、平民ではありません! 私たちは『市民』です!! 平民などという名前は、傲慢な貴族たちが私たちを見下すための言葉です! そんなくだらない名前は、さっさと投げ捨ててしまいましょう! 私たちは貴族たちに、声も高らかに宣言しましょう! 我々は、最早、平民ではないと! 『市民』であると!!」
市民の軍隊である反乱軍にも、新しい名前を与える。
「貴族たちが、我々『市民』のための軍隊を見下すための、反乱軍の名前も返上しましょう! 私たちは! 解放軍であると!! 後、もう一歩です! 愚かな貴族たちの圧政に苦しむ、我らの同胞である『市民』たちを! 我ら! 解放軍の手で! 解放しましょう!!」
そして、最終目標を伝える。
「私はみなさんに約束します! 思いあがったリスティン王国を! 打倒した! その暁には!! 私は! 『市民』の! 『市民』による! 『市民』のための国家を! 必ず樹立して見せます!!」
エイブラハム・リンカーンの有名な演説の丸パクリである。人民を市民に、政治を国家に、それぞれ置き換えただけだ。
演説の最後に、解放軍による戦争にも、新しい名前を与える。
「さぁ! 出陣です!! 我ら解放軍の! 最初で最後の! 聖戦を始めましょう!!」
演説が進むにつれて、静まり返る会場。
しばらくはシーンとしていたが、少しずつ歓声が大きくなり、やがては大地が悲鳴を上げるほどの地響きとなる。
この演説は、歴史に残る名演説として高く評価されるようになり、やがて書籍として出版されることになる。
(細工は流々、仕上げを御覧じろ、ですね)
さあ、聖戦の始まりだ。