先祖返りの町作り ~無限の寿命と新文明~
第228話 ガイン自由都市、立つ
それから、一年ほどの時が巡った頃。
いったん燃え上がり始めた反乱の炎は、あっという間に紅蓮の大火へと成長を遂げ、瞬く間に国中を席巻して燃え広がっていった。
平民の傭兵たちが反乱の鎮圧を拒否し、あげく、反乱に加担するようになっていたため、次々と各地の領主館が占拠されていった。
しかし、最初の方こそ勢いのあった反乱なのだが、各自が連携もとらずにバラバラになって戦っていたため、次第に各個撃破されるようになっていった。
そのような状況であったため、時を経るごとに、貴族連合軍に押され始めていた。
(兵力の集中運用などの用兵に関しては、さすがに、貴族側に一日の長がありますか……)
このままでは、時間さえかければ、反乱が完全に鎮圧されてしまうとの判断を下した私は、次善の策をユキムラに進言する。
「ユキムラ、最早、時間切れです。こちらから打って出ましょう」
ユキムラは、少し不思議そうな顔をして首を傾げ、私に確認を取る。
「ですが、大おじい様。それでは、平民自身の手で革命をなしてもらうという、当初の目標が達成できなくなるのではないですか?」
私はそれに頷きを返し、肯定しながら反対意見を加える。
「ええ、それが一番いいのは確かです。ですが、現在のように各地でバラバラに戦っていたのでは、各個に撃破されてしまい、やがては鎮圧されてしまうでしょう。これからは時間をかけるほどに平民側が不利になっていきますので、ここで私たちが先頭に立って、反乱軍を一本化せざるを得ないでしょう」
ユキムラは納得した表情になり、近場の官僚の一人に声をかけて、会議の開催を指示する。
「分かりました。では、そこの人。すいませんが、主だったものを会議室に集めてください」
そうして始まった会議で、まず、今になってこちらから打って出る意義を、私が説明することになった。
「このように、兵力を集中的に運用し、分散している敵を一つずつ各個撃破するのは、兵法の常道です。これらの用兵に関する知識が貴族側にはあり、平民側にはありません。このままですと、この反乱は、平民側の敗北で終了してしまうでしょう」
だからこそ、ガイン自由都市が音頭を取って、反乱軍を纏めて一本化する必要があるのだと説明した。
それに対する反対意見は、誰からも出なかった。みんなもこのままではマズイと、重々承知していたのだ。
それからの会議では、細部を詰める作業だけが行われた。
そして、早速、翌日から、反乱軍を組織するのでガイン自由都市に集まるようにとの触れを出して回ってもらった。
「ガイン自由都市が、ついに立ち上がってくれた!!」
この知らせを聞いた平民たちは、もろ手を挙げて喝采を浴びせてくれた。
そして、このニュースは瞬く間に国中を駆け巡るようになり、続々と反乱軍志望のものが集結し始めるのである。