先祖返りの町作り ~無限の寿命と新文明~
第227話 内乱
だいなまいとの開発を始めてから、二年ほどの時が過ぎ去っていた頃。
すぐにでも勃発するのではないかと予想されていた反乱だが、思いのほか、平穏を保っていた。
もし、貴族たちがガイン自由都市との取引を停止し、兵糧攻めを仕掛けてくるようであれば、その時はこちらから打って出るしかないだろうと考えられていたのだが、実際には、そうはならなかった。
どうやら、ガイン自由都市が栄えるのは嫌だが、自分たちの懐が痛むのはもっと嫌という、かなり自分勝手な理由によるらしい。
そのような状況であったため、水面下ではかなりの緊張状態が続いているのだが、表面上は奇妙なほどの平穏な状態を保っていた。
しかし、平民の移動を厳しく取り締まるようになったことにより、この国のあちこちで、不満が爆発寸前であるとの報告を受けている。
平民たちにとっては、本当にどうにもならない状況に陥ったら、最後は夜逃げしてガイン自由都市へ転がり込めばなんとかなるというのが、どこか、心のよりどころになっていたらしい。
それができなくなったことによる不満はかなりのもののようで、相当、追い詰められているようだ。
そのような綱渡りの状態が続いてはいるのだが、ガイン自由都市にとっては、二年もの歳月が稼げたことにより、各種の準備が万端になっていた。
だいなまいとをはじめとした、いくつかの新兵器の準備も完了しており、いつでも王国軍の全軍を相手にしての戦争が始められる状態になっていた。
そんなある日。
ついに、その知らせが届けられた。
「平民による反乱が勃発しました! 王国西部のスルト村で、貴族からの解放を叫びながら、平民たちが領主館を占拠した模様です!!」
領主の執務室で仕事をしていた私たちの元へと、官僚の一人が興奮した様子で第一報を届けてくれた。
領主のユキムラはゆっくりと頷き、すぐに対策会議の開催の指示を出す。
「ついに、この時が来てしまいましたか……。早速、対策会議を行います。主だったものを、全員、集めてください」
こうして、慌ただしく始まった対策会議ではあるが、対策自体は既に何度も話し合われていたため、特に混乱もなく進んでいった。
この会議で決定された主な内容は、以下の様なものになる。
・ガイン自由都市の四方で熱キキュウを飛ばし、ボウエンキョウを使って、周囲の状況の常時監視を行う。
・魔力ばいくを使った偵察部隊を各地に派遣し、情報収集の強化を徹底する。この部隊の全員にもボウエンキョウを配布する。
・各地での平民反乱が失敗に終わった場合、避難民をガイン自由都市で受け入れるとの触れを出し、保護するための準備を進める。
これらの他にも、いろいろと細々とした内容を詰めていた時、反乱の第二報が届けられた。
「北部のバラク村でも、同様の反乱が発生した模様です!!」
私はそれを聞いた時、思わず独り言を零してしまう。
「これは、想定していた以上の速度で、国中を巻き込んだ内乱に発展しますね……」
私のその予想に、反対意見を述べるものは誰もいなかった。