先祖返りの町作り ~無限の寿命と新文明~
第225話 だいなまいと
会議を終えた私は、その足でダイガクの自分の研究室へと向かい、そこで新しい攻撃手段についての考察を、一人、進めていた。
「地球の近現代の『戦車』のような極端な兵器は、さすがに必要ないでしょう。それよりも、もっと開発が容易なもので、何かありませんかね……」
しばらく顎に手を当てて考えを巡らせ、やがて結論に至る。
「やはり、『火薬』を改良するのが、一番になってくるでしょうね」
現在のゾウキンバクダンには、ニトロセルロースが使われている。これ以上を目指すとなると、TNT火薬やニトログリセリンの開発が必要になってくるだろう。
「幸いなことに、化粧品の保湿液に『グリセリン』と思われるものがありますから、ここは、『ニトログリセリン』を作ってみましょう」
ニトログリセリンの材料は、お分かりの通りのグリセリンだ。グリセリンには保湿効果があるため、地球でも広く化粧品に使われている。
ダイガクで様々な物質の研究が進んでおり、その中には、グリセリンと思われるものもいくつかある。
それを使えば、ニトログリセリンも作れるだろう。
「ただ、『ニトログリセリン』は非常に不安定な物質なので、すぐに暴発してしまうのが難点なのですよね……」
ニトログリセリンは無色の油状の液体で、ちょっとした衝撃を加えるだけでも暴発してしまうかなり危険な物質だ。
実際、昔はこれが鉱山の採掘現場で発破用として使われていたのだが、暴発事故が絶えず、問題になっていた時代がある。
「ここは、偉大なノーベルの発明品を使わせてもらいますか。鉱夫の安全のために開発された『ダイナマイト』を、この世界でも戦争に利用させてもらいましょう」
ノーベル賞を作ったことで有名なアルフレッド・ノーベルは、暴発事故で傷つく鉱夫たちを憂い、安全にニトログリセリンを扱えるようにと、ダイナマイトを開発した。
しかし、皮肉なもので、ダイナマイトはその手軽さ故に戦争で多用されるようになり、彼は人殺しの道具で巨万の富を得てしまう。
それに心を痛めたノーベルが、人類の発展に寄与した人に遺産を分け与えて欲しいとして作られたのが、ノーベル賞であることは有名な話だろう。
そんな、心優しいノーベルには大変申し訳ないのだが、この世界でもダイナマイトを戦争に利用させてもらう。
作り方は意外と単純で、砂と粘土にニトログリセリンをしみ込ませることで、衝撃に強くするのである。
「ただ、この研究開発は危険なものになってくるでしょうから、防御魔法を瞬時に展開できる私が、直接、進めるべきでしょうね……」
いくら仕組みの上では簡単だといっても、開発するには、その分量などを試行錯誤する必要があり、かなりの危険を伴うと予想される。
そこで、いべんとはんどらを使えば瞬時に光盾の魔法を展開できる私が、直接、開発するのが妥当だろう。
「よし。そうと決まれば、早速、研究開始です!」
私は自らの頬を両手でパンッと叩き、気合を入れて、来るべき日に向けての開発を開始したのであった。