先祖返りの町作り ~無限の寿命と新文明~
第221話 子孫の弟子
いくつかの研究室を立ち上げてから、瞬く間に三年ほどの月日が流れ去っていた頃。
天然ゴムの研究室では、無事に試作品が作れるまでになっていた。
今は私の専用機のゴムタイヤに使われており、耐久テストなどの実地試験が繰り返し行われている。
一般的な魔力ジドウシャでテストしないのは、私の専用機が、一番、過酷な使い方をするため、テストにはうってつけだからだそうだ。
また、この頃、ニーナは二十一歳になっていた。
幼少の頃から魔道具に強い興味を示していたため、ヨシツネと私が喜んでいろいろと教え込んでいたら、すっかり魔道具バカに育ってしまっていた。
「私ではなくて、むしろ大おじい様の影響ですよ?」
そのように、ヨシツネは妻のヘレナさんに釈明していた。
(私を免罪符のように使わないで欲しいです)
ニーナは高等学校を卒業したその日のうちに私の自室を訪ねて来て、かなり早口になりながら直談判を始めた。
「大おじい様! 私を弟子にしてください!!」
あまりにも勢いよく頭を下げるので、私の方が、若干、気押されてしまい、少し再考を促してしまう。
「私は別に構いませんが、ニーナはそれでいいのですか? ヒデオ工房だと、どうしても身内贔屓だと言われかねませんので、他の工房の方が気兼ねなく修行ができるのではないですか?」
そすると、ニーナはブンブンと音がしそうなほど首を激しく振り、否定する。
「何をおっしゃるのですか、大おじい様! この都市、いえ、この国で最高の魔道具工房と言えば、間違いなくヒデオ工房ですよ! 他人のさえずりなど、私は全く気にしませんので、この世で最高の親方である大おじい様の元で、どうか修行させてください!!」
そのあまりにも真剣で必死な様子に、私は許可を出すことにした。
「分かりました。ですが、他の弟子たちと区別なく仕事を振りますので、そこだけは覚悟してくださいね」
「それこそ望むところです!」
こうして、子孫初の弟子となったニーナは、その宣言通りに必死になって修行を重ねた。その結果、あっという間に一人前となり、誰もが認める魔道具職人になっていた。
そんなニーナが生涯の伴侶として選んだのは、同僚の魔道具職人の一人であった。
その人は私の弟子の一人でもあるロレインで、真面目な職人として、私の信任の厚い青年だ。
二人は順調にお付き合いを続けており、昨年、正式な婚約者となっていた。
ニーナもロレインも魔道具が好きすぎて、二人ででかけるとロクにデートもせずに、図書館や喫茶店で、ずっと魔道具談義を繰り広げていた。
そんな魔道具バカの二人は、今日、無事に結婚式を終えて夫婦となっていた。