先祖返りの町作り ~無限の寿命と新文明~
第219話 天然ごむ
クリスさんと誓いを交わした私は、なんだかずっとポワポワしているような様子の彼女を微笑ましく見てから、ガイン自由都市へと帰還した。
そして、ダイガクの自分の研究室へと足を踏み入れ次第、持ち帰ったラテックスの研究を開始した。
天然ゴムの量産に目途が立つようになれば、島の里だけで生産していたのでは需要をまかないきれなくなるであろうことは明白なので、他の場所での栽培も視野に入れて、苗木をいくつかもらい受けていた。
それらうちのほとんどを対岸のエルベ村の住人に渡しており、お金を払って育ててもらっている。
樹液が採れるようになれば、さらに追加でいくらでも購入すると説明すると、張り切って育成すると言ってくれていた。
また、研究用としてガイン自由都市にもいくつかの苗木を持ち込んでおり、いずれは育成専門の研究室も立ち上げてみたいと思っている。
ラテックスをそのまま固めるだけでも、使い道がないわけではない。
しかし、これだけでは熱によって性質が変化しやすく、扱いづらいものになってしまう。
そこで、これに硫黄を加える加硫と呼ばれる工程を挟むことにより、丈夫で変質しにくい天然ゴムとなるのだ。
ただ、その細かい配合率や作業工程などの知識を、私は残念ながら持ち合わせていない。
そのため、ある程度の期間にわたる試行錯誤が必要になってくるだろう。
ゴムは工業用として応用範囲がとても広く、かつては黒い黄金とも呼ばれるほどの価値があったものでもある。
現在、ぱっと思いつくだけでも、ゴムタイヤに水道のパッキン、レイゾウコの密閉用と、かなり使い道が広くなっている。
いずれは大量の需要が見込まれてくるため、長期的には、エルベ村などの広い地域で生産してもらう必要が出てくるだろうが、当面の間は島の里で産出する分だけで賄っていくしかないだろう。
そうなってくると、問題になるのは輸送手段だ。
現状のような小舟でちまちまと運んでいたのでは、あまりにも効率が悪すぎる。
「となると、もう少し大きな船の開発も、行わなくてはなりませんか……」
私は、これからやらなくてはならなくなるであろう研究内容をリストアップしていき、順次、開発を続けていくのであった。