先祖返りの町作り ~無限の寿命と新文明~
第215話 大おじい様の薫陶
それから、また四年ほどが経過した頃。
ユキムラは逞しく成長していた。性格はお母さんのヘレナさんに似たようで、アウトドア派の活発な青年に育っていた。
剣術や馬術等、とにかく外で体を動かすことが大好きな、健康的な好青年になっていた。
鍛え上げた剣術の腕も確かなもので、かつてのエルクを彷彿とさせるような、細身の体には似合わない優秀な壁役になっていた。
「もし、領主にならなくてもいいのであれば、私はガイン自由都市軍の一兵士となって、この都市の住民を、直接、守りたいですね……」
ある時、このようなことを、ユキムラは少し寂しそうな顔をしながら語っていた。
(方向性こそ違いますが、やはり、ヨシツネとユキムラは親子ですね)
私はそのように感じてしまい、思わず私の野望の進捗具合を語り聞かせていた。
「今はまだ無理ですが、このままこの都市を発展させ続け、後数十年もする頃には、私の子孫たちにも職業選択の自由が得られる国になると思います。あなたの代では無理でしょうが、せめて、あなたの子供か孫が好きな職業に就けるように、私に力を貸してはくれませんか?」
私がそのように説明すると、ユキムラは微笑みながら、力強く頷いてくれた。
そんなユキムラが生涯の伴侶として選んだのは、傭兵で魔術師として活躍しているリノアさんという女性だった。
どこか、かつてのルースの面影があるように感じられて、私は、一人、以下の様に考えて納得していた。
(やはり、ユキムラもエルクの子孫なのですね)
リノアさんは優秀な傭兵として身を立てているだけはあり、男性の言うことに唯々諾々と従うだけの女性ではなく、確固とした意見を持つ立派な女性だ。
むしろ、ユキムラの方が振り回されている印象すらある。
そんな様子を見た家族たちは、以下の様に評していた。
「やはり、大おじい様の薫陶が行き届いているようで、うちの一族の男どもは、芯の強い女性が好みのようですね」
私は思い当たる節がありすぎて、ただただ、苦笑するしかなかった。
そんなユキムラとリノアさんは、昨年、正式な婚約者となっていて、本日、無事に結婚式を挙げて、新たな夫婦となったのであった。