先祖返りの町作り ~無限の寿命と新文明~
第214話 別世界の都市
それからさらに、年を三つほど重ねた頃。
この頃になると、鉄道網もかなり整備が進んでいた。それに伴い、鉄の需要も激増していたため、鉄鉱石の鉱山のあるイリス村にも駅舎が建設されていた。
また、原油の産地であるセネブの町にも鉄道が敷かれており、原油のさらなる大量輸送が可能になっていた。
その他にも各所に駅舎が作られており、日々、様々な物資を中心に大規模輸送が始まっている。
しかし、当初に予定していたような、観光業にはあまり需要がなかった。
というのも、平民の移動が厳しく制限されていたため、貴族に捕縛されることを恐れて、ほとんど利用されなかったのだ。
貴族たちも、平民の発明品に乗り込むのはプライド的に無理だったようで、こちらにも需要がなかった。
税収が多くあり、権力が強大になっている大貴族の支配地域を政治的な理由から避けて、周辺の村落部に駅舎を建設していたのも影響したのかもしれない。
それでも、ガイン自由都市だけは、さらに加速度を付けて発展を続けていた。
様々な原材料の大量輸送が可能になったため、それらの資材を用いた開発が盛んに行われるようになっていたのだ。
さすがに、前世の超高層ビルの様なものは作れなかったのだが、それでも、この国では誰も見たことがないような高層建築のアパート等が次々に建設されていった。
そのため、平民たちの間で、次の様なことが広く囁かれるようになっていた。
「まるで、ガイン自由都市の内部だけ別世界の様になっているらしいぞ」
そのような噂もあったためなのか、移動を厳しく制限されているにもかかわらず、我らの領地への移住希望者が、年々、増加傾向を示していた。
また、原油の潤沢な輸送が可能になったため、各所への高速道路網の拡充も順調な進みを見せていた。
その結果、移動が格段に安全になっている上に速くもなっていて、それもあって、ガイン自由都市だけが大きな発展を成し遂げていたのである。
また、鉄道網や高速道路網の充実に目を付けた領民がいたらしく、それらを利用した郵便事業も急拡大を見せている。
ガイン自由都市は一大経済圏の中心地として発展を続けており、その巨大な経済力は、もはや貴族たちにも無視できない規模になっていた。
そのことに焦りを感じている貴族も出始めている様だ。
(このまま発展させ続けていけば、いずれは貴族たちを排除して共和国の建国も可能になるでしょうね。私の野望の達成も、やっと目に見える範囲にきましたか……)
私はそのように考え、一人、ほくそ笑むのであった。