先祖返りの町作り ~無限の寿命と新文明~
第212話 デンワ
ニーナが四歳になり、可愛い盛りを迎えた頃。
デンキ式のデンタクが、無事に発表されていた。魔道具式のものと比較するとかなり小型になっていた上に安価でもあったことから、人気商品となっていた。
ただ、まだトランジスタの量産体制が十分には整っていなかったため、一般庶民が気軽に買えるほどの値段にはなっていない。
それでも、業務用として人気を博している。
また、この頃になると、電話の実証実験も始まっていた。
前世の固定電話の様に、一つの受話器に収まるほどにはスピーカーとマイクが小型化できなかったため、大昔の電話機の様に、それぞれが独立した形になっていた。
電話の回線は、一旦、全てが交換局に繋がるように設計されている。
これは、電話が回線交換方式と呼ばれる形態で繋がっていることによるものだ。
交換局で通話する相手に接続すると、双方が一本の回線で繋がり、電話が使える様になるのだ。
ちなみに、現代のインターネット回線の様に、高速な一本の回線を複数で共有する方式は、パケット交換方式と呼ばれる。
今回開発した電話機にはボタンが一つだけついており、それを押すと交換局のオペレーターに繋がる。そこで通話相手を告げると、人力で回線を接続してくれる方式になっている。
まずは手始めにと、数か所での実験が行われている。
具体的には、ダイガクの私の研究室や、ヒデオ工房の工房長室などに設置されている。
私の行先に多く設置されているのは、何か緊急事態が発生した時などのために、容易に呼び出せるようにとの意味もあるらしい。
また、領主館には新たに放送室が設置されており、そこから各所に接続された大音量スピーカーで放送が行えるようになっている。
領民全員に知らせる必要があるお知らせがある時などに利用されるのだ。
テストでこの放送を最初に流した時には、ガイン自由都市のどこにいても声が聞こえると、一躍、領民たちの注目の的になったのであった。