先祖返りの町作り
第200話 天然ごむ
クリスさんと誓いを交わした私は、
ガイン自由都市へと帰り次第、
持ち帰ったラテックスの研究を始めた。
天然ゴムの量産に目途が立てば、
島の里だけでは、
生産が追い付かない事は明白なので、
苗木をいくつかもらい受けていた。
それらのほとんどを、
対岸のエルベ村の住人に渡しており、
お金を払って育ててもらっている。
樹液が取れるようになれば、
さらに追加で購入すると説明すると、
張り切って育成すると言ってくれていた。
また、研究用として、
ガイン自由都市にもいくつか持ち込んでおり、
育成の研究もしてみる予定である。
ラテックスを固めるだけでも、
使い道がない訳ではない。
しかし、
これだけでは熱によって性質が変化しやすく、
扱いづらいものになってしまう。
そこで、これに硫黄を加える、
加硫と呼ばれる工程を挟む事により、
変質しにくい丈夫な天然ゴムとなるのだ。
ただ、細かい配合率等は私の知識にないため、
しばらくの間は試行錯誤が必要だろう。
ゴムは工業用として応用範囲が広く、
かつては黒い黄金とも呼ばれるほどの、
価値があったものでもある。
ぱっと思いつくだけでも、
ゴムタイヤや水道のパッキン、
レイゾウコの密閉用と、
現状でも使い道は広い。
大量の需要が予想されるため、
長期的には、
エルベ村等でも生産してもらう必要があるが、
当面の間は島の里で産出する分だけで、
賄うしかない。
しかし、現在の小舟で運んでいたのでは、
あまりにも効率が悪い。
「となると、もう少し大きな船の開発も、
行わないといけないでしょうね」
私はこれからやらなくてはならない研究内容を、
リストアップし、順次開発を続けるのであった。