先祖返りの町作り
第125話 三角カンスウ表
私が大学設立のための準備として、
最後に行ったのが、三角関数表の作成である。
これができれば、
測量のための基礎数学ができるため、
目標の上下水道が施設できるようになる。
できれば、常用対数表等も用意したいが、
残念ながら計算式を覚えていない。
マクローリン展開の公式を、
自力で発見してもらうためにも、
早く研究室を立ち上げたいと考えている。
三角関数表自体は、
とても単純な手順で求められる。
できるだけ正確に、
大きな直角三角形を作図して、
何度も計測して平均を割り出すだけである。
しかも、45度までの表さえ用意できれば、
残りは三角関数の各種公式から、導き出せる。
そう考え、地道な作業を継続し、
三角関数表を作成した。
気が付けば、最初に大学の設立を決意してから、
これらの下準備だけで、
3年の歳月が経過していた。
私はそのまま、研究職の希望者を募り、
大学教授として育て上げるべく、
奮闘を始める。
ただ、研究をしてもらうためには、
研究テーマが必要だ。
平民が科学研究などした事のないこの国では、
自分で考えろでは、
あまりにも無責任だと考えた私は、
なにか良いテーマはないかと、
頭を悩ませる事になる。