SOLID STATE ANGEL
第68話 アニシモフ鉱山攻略戦
チェルヌィフの都市を無事に攻略した俺達フェルモ連隊は、意気揚々と前線基地へと帰還した。
俺達のこの戦いは、軍上層部も驚くほどの手際の良さだったようで、そのことを将軍から褒められた連隊長はホクホク顔をしていた。
ただ、連隊長はその場で次の攻撃目標の指示も受けていたらしい。
マクシモにこちらの意図を悟られる前に、できるだけ戦果を拡張しておきたいとのことで、次は大陸東部で最大の鉄鉱石の鉱山、アニシモフ鉱山を爆破するのだそうだ。
アニシモフ鉱山を長期にわたって採掘不能にするため、坑道を破壊する作戦が伝えられた。ただ、地下にある坑道なので、多脚戦車では破壊が難しい。そのため、俺達の連隊で兵員輸送車を護送し、鉱山まで連れていくことになった。
その輸送車には、爆弾を実際に設置するための工兵隊が乗っている。また、坑道には採掘用と警備用のロボットがいると思われるため、爆弾設置までそれらを排除するためのパワードスーツ部隊も同時に輸送するのだとか。
命令を受けた翌日にはすでに、俺達はアシモフ鉱山にほど近い最前線へと部隊を展開していた。
いつもの手順で戦争が始まり、前回同様、近接戦闘開始直前に俺達の前の部隊が左右に分かれ、道をあけてくれる。
「フェルモ連隊突撃開始! 野郎ども! 今日も景気よく行くぞ!」
連隊長の掛け声とともに俺は前進を始め、連隊の仲間達がそれに続く。
前回の焼き増しのように、前列の仲間達がブリキ野郎を弾き飛ばし、流れ作業で後続が一撃ずつ加えて破壊を繰り返す。
やがて前線を無事に突破した俺達はそのまま疾走を続け、しばらく後にアシモフ鉱山に到着した。
さすがに最精鋭部隊だけあって、そのまま流れるような連携を見せ、素早く鉱山の入り口を封鎖した。むしろ、兵員輸送車の方がややもたつきながら入り口に陣取ったぐらいだ。
そして、最初に護衛のパワードスーツ部隊が突入し、入り口付近の安全を確保する。やや時間を空けて工兵隊も下車し、爆弾の設置を開始した。
じりじりとした焦りを感じながらも、俺達は待機を続けていた。
頼むから早くしてくれよ。ブリキ野郎が大挙して駆けつけてくると、突破のための助走がつけられなくなる。そうすると、俺達はめでたく敵中のど真ん中で孤立してしまう。
そんなことを考えながら待っていると、無事に工兵隊と護衛部隊が入り口から出てきた。
さらにしばらく待っていると、爆破のカウントダウンが近距離レーザー通信網で始まり、ゼロの掛け声とともに入り口付近が崩落した。
ある程度内部まで爆破しているため、再び採掘できるようにするためには、また坑道を掘るところから始めなくてはならないらしい。これでかなりの時間が稼げるだろう。
「よし! 撤退だ!! ブリキ野郎どもが駆けつける前に家に帰るぞ!」
連隊長のその命令とともに俺達は撤退を開始し、無事に作戦を完了した。