先祖返りの町作り(再調整版)
第229話 建国
それから、無事に大統領選挙が終了した頃。
下馬評通り、他候補に大差をつけてユキムラが当選し、初代大統領となった。
法律では、合計2期までしか大統領に就任できない。そのため、最長でも10年我慢してもらえたら、ユキムラも重責から解放される計算になっている。
そして、ガイン自由都市200周年の記念日に合わせて行われた大統領の就任式の場で、ユキムラによって、ヒデオ・キョウワ国の建国が宣言された。
せめて、ガイン・キョウワ国にして欲しいと私はお願いしていたのだが、全会一致で却下されていた。
私の貢献度を考えると、これ以外の名前はあり得ないのだそうだ。
そして私には「建国の父」という、最後となる二つ名が与えられたのであった。
今は大統領府となっている、かつての領主館で仕事の引継ぎを行っていると、ユキムラがある役職を私に与えた。
「大おじい様を、この国の終身名誉ダイトウリョウに任命しますね」
私はそれに若干驚き、異論を述べる。
「私をそんなものに任命してしまうと、半永久的に給料をもらってしまいますよ?」
そうすると、それで良いのだと説明を受けた。
「これは、大おじい様のための処置ではありません。シミンのための処置なのです」
「そうなのですか?」
ユキムラは力強く頷きながら、その真意を語ってくれる。
「建国の父となった大おじい様に、その長い寿命を使って、この国の行く末を見守って欲しいのです。
そして、道を誤りそうになったら、それとなく手助けをお願いしたいのですよ」
私は、それならばと納得し、この国を見守り続ける事を約束したのであった。