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先祖返りの町作り(再調整版)

第208話 ガイン自由都市、立つ

 それから、1年ほどが過ぎた。

 いったん燃え盛り始めた反乱の炎は、紅蓮の大火となって瞬く間に国中を席巻し、燃え広がっていった。

 平民の傭兵達が反乱の鎮圧を拒否し、あげく反乱に加担していたため、各地で領主館が占領されていった。

 しかし、最初の方こそ勢いのあった反乱ではあるが、各自がバラバラに戦っていたため、各個に撃破され始めた。

 そのため、次第に貴族連合軍の勢いに押されだしていた。

(兵力の集中運用等の用兵に関しては、さすがに貴族側に一日の長がありますか)

 このままでは、時間さえかければ反乱が完全に鎮圧されてしまうと判断した私は、次善の策をユキムラに進言する。

「ユキムラ。もはや時間切れです。こちらから打って出ましょう」

 ユキムラは、少し不思議そうな表情をして私に確認を取る。

「ですが、大おじい様。それでは、平民自身の手で、革命をなす事ができなくなってしまうのでは?」

 私はそれに頷きを返し、肯定しながら反対意見を加える。

「ええ。それが一番良いのは確かです。ですが、現在のように各地でバラバラに戦っていたのでは、各個に撃破されて、やがては鎮圧されてしまいます。

 これからは時間をかけるほどに、平民側が不利になってゆきます。ですから、ここで私達が先頭に立って、反乱軍を一本化せざるを得ないでしょう」

 ユキムラは納得した様子で、近場の官僚の一人に声をかけて、会議の開始を指示する。

「分かりました。では、そこの人。すいませんが、主だったものを会議室へ集めてください」

 そうして始まった会議では、まずは私がこちらから打って出る意義を唱えた。

「このように、兵力を集中的に運用し、分散している敵を各個撃破するのは、兵法の常道です。

 これらの用兵に関する知識が貴族側にはあり、平民側にはありません。このままでは、この内乱は、平民側の敗北で終了してしまうでしょう」

 だからこそ、ガイン自由都市が音頭を取って、反乱軍をまとめて一本化する必要があるのだと説明した。

 それに対する反対意見は、誰からも出なかった。皆もこのままではまずいと、重々承知していたのだ。

 それからの会議では、細部を詰める作業だけが行われた。

 そして、早速翌日から、反乱軍を組織するのでガイン自由都市に集まるようにとの、触れを出して回ってもらった。

「ガイン自由都市が、ついに立ち上がってくれた」

 この知らせは国中を瞬く間に駆け巡り、続々と反乱軍志願のものが集結し始めるのであった。