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先祖返りの町作り(再調整版)

第193話 すぴーかーとまいく

 ニーナの誕生から、しばらくが経過した頃。

 電気電子工学科の設立が一段落したため、私は新たな研究課題として、スピーカーとマイクの基礎研究も開始した。と言っても、原理以外は覚えていないため、ダイガクに丸投げする予定である。

 スピーカーの原理は、電磁石と永久磁石を組み合わせ、それと接続した膜を磁力で震わせる事により空気の振動を生み出し、音を鳴らすというものだ。

 マイクについてはこれの逆を行う。

 永久磁石につながれた膜に音の振動を伝え、コイルの前で震わせると、電磁誘導という原理により微弱な電流が発生する。

 この電磁誘導とは、スマートフォンのワイヤレス充電器でも使われている原理である。電磁石のコイル周辺の磁場を変化させると、それを打ち消す方向に磁場を発生させるように電流が流れる現象を利用している。

 この時発生した電流の波を保存したものが、レコード等になるのだ。

 これらに必要になるのが、電流を見かけ上増幅させる事のできるトランジスタである。

 見かけ上と念を押しているのは、もし単純に電流を増やす事ができてしまうと、物理法則を無視してしまうからだ。エネルギー保存則違反になるので、物理の基本法則が崩れ去ってしまう。

 実際には、弱い電流を使って、より強い電源からの電流の流れを制御するのである。

 これができると、スピーカーに接続するアンプが作れる。

 また、マイクで発生した微弱な電流を増幅し、扱いやすくする事もできるようになるのである。

 スピーカーとマイクができれば、有線式の固定電話が作れるようになるだろう。ただ、まだまだコンピューターは作れないため、交換機と呼ばれる機械を、人力で動かす必要はあるが。

 しかし、それでも、都市内部での情報伝達が、飛躍的に早くなるはずだ。

 夢が広がる研究がまた一つ、開始されたのであった。