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先祖返りの町作り(再調整版)

第149話 七代目の子孫達

 それから季節が2巡した頃。

 フィーナとティータが相次いで出産した。こんな所でも仲の良い二人である。

 まだ二人のお腹がそれほど目立たない頃から、生まれる子供達に私が名付けて欲しいとの要望があった。今回は比較的時間に余裕があったので、じっくりと考える事ができた。

 ただ、男女のどちらが生まれてくるかが分からないため、4パターンの名前を考えなければならなかった。

 出産は少し時間がかかったが、おおむね安産でどちらも生まれてくれた。生まれた子供はどちらも男の子で、黒髪と緑の瞳の元気な赤ちゃん達である。

 母親達と同様に、双子と言って良いほど良く似ている。

(フィーナとティータがそっくりですし、リョウマとクラウスさんもどこか似ていますから、当然かもしれませんね)

 私はそんな感想を抱いていた。

 事前に考えていた名前の中から、両方男の子のパターンを採用し、リョウマとティータの子供をイサミと名付け、クラウスさんとフィーナの子供をトシゾウと名付けた。

 六代目が坂本龍馬から命名しているため、幕末繋がりという事で、近藤勇と土方歳三から名前を拝借した。

「その昔、後の世に語り継がれるほどの最精鋭部隊がありまして。その部隊名を『新選組』と言ったのですが、その局長と副長の名前をいただきました」

 命名の由来を尋ねられた私は、特に隠すこともないかと、正直に打ち明けていた。

 ただ、どちらも非業の死を遂げている事は、墓まで持っていく秘密にする事が既に決定している。

 2組の夫婦の4人はとても喜んでくれたので、私は胸をなでおろしていた。

 初代の私から数えて、もう七代目となる子孫の誕生に、改めて100年という時の流れを実感していた。

 しかし、どんなに時が流れても、私は年を取る事ができない。そのため、この子達もいずれは私を置いて旅立ってしまう。

 その事に思い至ると、とてつもなく寂しくなり、私は早くクリスさんに会いたいなと、心の底から思うようになっていた。

(いっその事、新たな子孫達の誕生を土産話に、私の方から彼女に会いに行きましょうかね)

 それはとても良いアイデアのように思えたので、私はいそいそと、旅行の準備を始めた。

 なんだか、無性に人肌が恋しい。

 早くクリスさんに会って、たまには、私の方からスキンシップを求めてみるのも良いかもしれないなと考えていた。

(ああ。もうすっかり、篭絡されてしまっていますね。

 あなたの勝ちですよ。クリスさん。

 もう少し待っていただけたら、あなたの完全勝利になります)

 私は若干の苦笑を浮かべながら、すっかり愛しの人となった彼女との再会を急ぐのであった。