先祖返りの町作り(再調整版)
第83話 私立高等学校
エストが三代目領主に就任してから、4年ほどが経過した頃。
メイは第三子を出産した。
私はもはや恒例となった、祝詞を唱え続けた。そのかいもあってか、今回も安産で、元気な女の子が生まれた。
この子は後に、ルナリアと名付けられた。
メイによく似た金髪と青い瞳をした、玉のような赤ちゃんだ。
さすがに三人目ともなると、ゴランさんは泣き出しはしなかったが、それでも、初めてできた娘にデレデレであった。
また、この頃には、高等学校の先生達と協力して編集した参考書も印刷され、販売され始めた。
一般販売された参考書を見た貴族達は、さらに反発を強め、武力をちらつかせるような発言をするものも現れ始めた。
そのため、自衛する必要性を感じたエストは、傭兵を常時雇用するようになった。
ガインの町には騎士団が存在しないため、傭兵団が自由に運営できると評判になり、本拠地をガルムの都市から移すものも現れ始めた。
キナ臭さを増していった周辺事情ではあるが、町の中は平和で、この頃には、高等学校の卒業生の中には、私立の高等学校を設立するものも現れ始めた。
私立の学校は年度を増すごとに増加していき、官僚の中には、一定の規制をかけるべきだと主張するものもいた。
私立の学校では、教える内容がまちまちで、レベルも学校ごとに異なっていたためである。
私は前世の私立学校を知っていたため、放っておけば、やがてレベルにあった生徒が集まるはずだと考えていたため、エストに進言して、自由にさせる事にした。
また、領主からの補助金が出るのが、最初に設立した公立の高等学校のみであっため、授業料も一番安く、そのため入試の競争率も一番高くなり、私の設立した高等学校が、最高の高等教育機関として認識されるようになっていった。