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先祖返りの町作り(再調整版)

第69話 謎の超技術

 レイゾウコの試験販売開始から、半年が経過した頃。

 レイゾウコは爆発的大ヒットとなり、受注に対して、生産が全く追いつかなくなった。そのため、予約生産制を採用した。既に半年先まで予約で埋まっている。

 私にとって意外だったのは、予約先に、多数の同業他社の魔道具工房の名前があった事だ。

 これは、分解してコピー商品を作ろうとしたためだ。こっそりとコピーを作るのではなく、堂々と予約するその姿勢に、私はむしろ感心していた。

 ただ、この試みは全て失敗に終わる。

 冷媒や断熱材や密閉用のゴムの考え方が、全く理解できなかったようで、そこになぜそれが必要なのかが分からず、適当なもので代用していた事が主な原因である。

 特に、分解した時に発見される、密閉された空間内部に安置された数本の火の消えたロウソクは、完全に意味が分からなかったようだ。

 また、複数種類の魔法式のプレートが存在し、それらが銀線で接続されている理由も、理解できなかったようだ。

 もし、彼らの中に、魔法式が解析できる魔導士が一人でも存在したのであれば、これは複数種類のプレートを連動させる、失われた技術だと気付いたかもしれない。

 しかし、そのような人材はいなかったらしい。

(少し考えれば、連動しているのは分かるでしょうに)

 そう思っていたため、なぜ彼らがそこに思い至らないのかと首を傾げながら、魔道具業界に怒涛のように流れる各種の噂を聞いていた。

 彼らは最後まで、一種類の魔法式をなぜか3分割していると考えていたようだ。

 開発されたコピー商品は、巨大な上に冷却効率もかなり悪く、さらに価格も、ヒデオ工房の純正品よりも高かった。

 そのため、それらのコピー商品を購入した客からは、

「高額な粗悪品を売りつけやがって!」

 と、非難が殺到した。

 信用を急激に失った先発の工房達の様子を見た、後発の分解希望の工房達は、コピー商品開発から手を引いていった。

 私の作るものは、謎の超技術が使われていると言われ始め、

「ヒデオ工房の商品のコピーは作るな。作ればこちらの信用が下がる」

 と、業界で広く言われるようになっていた。

 また、ルツ工房はコピー商品開発に最初から手を付けず、予約注文の中にも名前がなかった。

 この理由は、少し後に、代替わりしていたルツ工房長によって知らされる事になる。

 また、増産体制を整えるため、新たに魔道具職人と弟子を雇用し、工房も引っ越して規模を拡大した。

 この引っ越し作業は、商品を生産しながら同時進行で行ったため、かなり苦労した。