先祖返りの町作り ~無限の寿命と新文明~
第243話 目指すべき国の形
定例の閣僚会議を開いていた時、法務大臣のバルトさんが質問を開始した。
「当面の懸案だった、地方公務員の問題も目途が立ちました。そこで、臨時ダイトウリョウが目指す、最終的な国の形について教えていただけませんか? そろそろ、そこに向けての準備を始めたいと思いますので」
私はそれに深く頷きを返し、これからの共和国のあるべき姿を語る。
「今までの国王や領主は、とても強大な権力を持っていました。これから正式な『大統領』を選出したとしても、その『大統領』が大きすぎる権力を持っていると、『市民』に牙をむいた時、誰にも止められなくなります。これをあらかじめ抑止する方法として、三権分立の考え方を導入します」
ちなみに、三権分立などの用語は、あらかじめこの国の言葉で適当な造語を作っていた。いまさらではあるのだが、今後のことを考え、あまり日本語の名称を乱用するのもどうかと考えたのである。
「国を動かすための権力には、大きく分けて三つあります。具体的には、裁判を行うための権力、司法権。政策を実行するための権力、行政権。法律を作るための権力、立法権となります」
日本人であれば当たり前の説明になるのだが、この国の人々には聞きなれない考え方だったようで、少し戸惑っているようも見える。
しかし、この場には非常に優秀なものしかいないため、すぐに理解してくれるだろうと考え、構わずに説明を続けることにした。
「国王は、これら三つの権力の全てを握っていました。しかし、これからは三つの機関それぞれにこれらの権力を持たせて分散し、相互に監視させることにより、権力の暴走を抑止します」
偉大な思想家であるモンテスキューの提唱した三権分立を、この国でも採用することを説明した。
そうすると、流石に優秀な人材たちである。すぐにこの話の要点を理解し、的確な質問を投げかけてきた。
まずは財務大臣のモントさんが、質問の口火を切る。
「なるほど。行政の長はダイトウリョウだと理解しましたが、他の権力を持つのは誰になるのですか?」
「司法は、最高裁判所の長官ですね。立法は、これから説明する国会議員となります」
それからの私は、これらの具体的な内容についての説明を続けた。
裁判については、日本を参考に三審制を採用する。具体的には、地方裁判所、高等裁判所、最高裁判所をそれぞれ設置する。
そして、法整備がある程度、完了した時点で司法試験を実施し、成績の上位者から順番により高位の裁判官として採用する。
国会については、アメリカの制度を参考にして、上院と下院の二院制とする。
個人的には、総理大臣の首を簡単に挿げ替えられる議院内閣制も優れた制度であると考えている。
しかし、まだまだ民主主義が未成熟なこの国では、あまり複雑な制度は無理だろうと判断していて、より分かりやすい大統領制を採用することとした。
下院は議席を人口配分し、上院は地域代表とみなして各地方で同数の議員を選出することとした。
そして、上院議員の選挙に合わせて最高裁判所の裁判官の国民審査を行い、過半数の否定的な得票となった裁判官は、失職することも合わせて説明した。
「細かいことはこれから決めていくとして、だいたいの方向性は以上のようになります」
私は説明を締めくくり、ここから改めて、本格的な国造りを始めたのであった。