先祖返りの町作り ~無限の寿命と新文明~
第240話 首都ガイン
凱旋パレードを終えた私は、懐かしの我が家である領主館に到着していた。
そこで、ユキムラから、引っ越しの準備を進めていると説明を受けた。
なんでも、領主館の近くにある一等地の雑居ビルを買い取っており、そこを臨時の大統領府とするのだとか。
そして、いずれはその臨時大統領府と現在の領主館の機能を交換する予定らしい。つまり、現在の領主館がいずれ大統領府となり、臨時大統領府がいずれは県庁になる予定になっている。
そのため、ガイン家の私室をそのままにしておくわけにもいかず、近くの一軒家を買い取っているのだそうだ。
少しずつ引っ越しを進める予定になっているので、私にも荷物をまとめ始めて欲しいと言われている。
なお、後日にその新しい家を見に行ったのだが、高級住宅地にある広めの屋敷になっていた。
「これからは家族だけで住むのですから、もう少し小さな家でも良かったのでは?」
私がユキムラにそのような感想を述べると、この家にした理由を教えてくれた。
「あまり小さい家にしてしまいますと、現在のメイドさんたちを解雇しないといけなくなってしまいますから」
私はそのこまやかで優しい配慮に、感心しきりであった。
久々の自室で英気を養った私は、早速、翌日から精力的に政務をこなすことになる。
最初に行ったのは、臨時大統領府の閣僚の決定であった。
一人目の大臣に任命したのは、ネリアの七代目の子孫で、モントさんという青年だ。帳簿仕事をしていたレオンさんの末裔にふさわしく、非常に数字に強いため、そのまま財務大臣をお願いしている。
なお、モントさんは、ネリアとローズさんの子孫であることを強調するかのような、見事な赤毛の持ち主である。
二人目の大臣に任命したのは、これまた私の子孫であった。メイの七代目の子孫であり、ティータの四代目の子孫でもある、バルトさんという青年だ。
彼はゴランさんの子孫であることを証明し、とても勉強熱心で、各種の法律について非常に深い知識を誇っていた。
その知識量を見込んで、法務大臣をお願いしたのだ。
まず初めに手を付けないといけなくなるのが、各種の政策の根拠となる法律の整備と、それを執行するための予算の編成になる。
そのため、とりあえずの閣僚として任命したのは、この二人だけになっている。
「私の子孫だけが閣僚になっていますが、依怙贔屓だと批判されませんかね?」
私はそんな懸念を表明していたのだが、まったくの杞憂であると説明を受けていた。
二人とも高級官僚として確かな実績を残しているため、誰からも不満はでないだろうと指摘されていたのだ。
二人を補佐するスタッフの任命も終わった後に、私は臨時大統領として最初の仕事を行った。
公共放送網を使い、ガイン自由都市に遷都することを市民たちに、直接、説明したのだ。
この知らせは歓喜を持って市民たちに受け入れられ、ガイン自由都市は、その正式名称を首都ガインへと改めた。
しかし、市民たちは自分たちの首都を、愛着を込めてガイン自由都市とずっと呼び続けることになるのであった。
ちなみに、これまでの首都であった王都は、正式名称を古都リスティンに改めている。