先祖返りの町作り ~無限の寿命と新文明~
第198話 しりんだー
私はすぐさま、蒸気機関の研究を開始した。
まずは基本的な部品から手を付けようと考え、シリンダーの開発から行うことにした。シリンダーとは、ピストンを含む上下運動する円筒形の部品全体のことである。
このシリンダーの基本的な構造と動作の仕組みは、以下の通りになっている。
まず、熱せられた蒸気をシリンダー内部に送り込む。
そうすると内部の圧力が高まるため、押し広がるようにしてピストンが動く。
その後、内部の蒸気を逃がすようにふたを開ける。
その結果、今度は内部の圧力が下がるため、縮まるようにピストンが動く。
このようにして、上下運動を繰り返すのである。しかし、ただ上下するだけでは、各種の機械の動力源としては扱いづらくなる。
そこで、上下運動を回転運動に変換するのが、クランクシャフトやコネクティングロッドと呼ばれる一連の部品になってくる。
これら二つの部品は、言ってしまえばただの棒だ。接続部分の形状に少し工夫が必要になってはくるのだが。
できることならば、これらが動作している様子を、動画を使って解説してみたい。
そうすれば、割と単純な構造で回転運動に変換できることが、分かりやすく説明できるだろうから。
シリンダーの新規開発において、最も難易度が高くなってくると考えられるのは、実はピストンの外壁の部分である。
激しく上下に動くため、この部分は、摩擦力やそれに伴う摩耗などが問題になる。だからといって密閉性を下げて緩く作ってしまうと、圧力が逃げてしまい、力が伝わらなくなってしまう。
密閉性を保ったまま滑らかに動かすためには、その形状だけでなく、潤滑油なども工夫する必要が生じてくる。
ただ、外燃機関では、内燃機関ほどにはシビアに作らなくても良くなってくるはずだ。
これは、シリンダー内部で爆発させて圧力を得る内燃機関に比較すると、あらかじめ圧力をもった蒸気を送り込むことになる外燃機関の構造の単純さによるものだ。
まずは手始めにと、シリンダーが一つだけの最も単純な構造で研究を開始したのだが、やはり、この部分で少し行き詰まりを見せている。
「まあ、焦っても仕方がありませんね。じっくりと腰を据えて、試行錯誤を続けましょう」
私はそのように自分に言い聞かせながら、根気強く研究を継続するのであった。