先祖返りの町作り ~無限の寿命と新文明~
第161話 フィーナとティータのお婿さん
祭りの喧騒もすっかりとおさまりを見せた頃。
二組の新たな夫婦が誕生していた。
年頃になっていたリョウマに、二年ほど前から最も積極的にアプローチしていたのは、従妹のティータであった。
リョウマと結ばれたらフィーナと本当の意味で姉妹になれるからという、いささか不純にも思える動機であったのだが、本気で落としにかかっていた。
フィーナとティータは強力なタッグを組み、フィーナは邪魔な虫が寄り付かないようにリョウマの周囲で睨みを利かせ、その隙にティータが果敢にアタックする。
そんな様子が、頻繁に見られるようになっていた。
リョウマは最初の頃、以下のように周囲に零していて、かなりの抵抗を見せていた。
「まるで自分の妹と付き合うみたいで、絶対に嫌だ」
しかし、それでも諦めない二人の猛攻にだんだんと押されていき、半年ほどたった頃になると、普通にお付き合いを始めていた。
そして、昨年、とうとう妻として迎え入れることに同意し、婚約を結んでいた。
一方のフィーナは、二人が無事に付き合いだしたのを確認すると、以下の様に宣言してお婿さんを探し始めていた。
「私もお兄様に似た旦那様が欲しいデス」
やがて探し当てた男性はクラウスさんという人で、どこかリョウマに似た雰囲気のある男性だった。
それもそのはずで、クラウスさんはキースの孫で、メイの直系のひ孫にあたる人だった。
そして、今日。リョウマとティータ、クラウスさんとフィーナによる、合同結婚式をつつがなく終えていた。
結婚式の主役の四人全員が、私の子孫になる。
(私の子孫たちも、ずいぶんと増えましたね)
あらためて、この領地に来てから百年という歳月の長さを再確認していた。
少し不純とも思える動機で伴侶を決めたフィーナとティータであったが、その後の夫婦仲は非常に良好で、ガイン家のおしどり夫婦として、だんだんと有名になっていった。
「ティータの甘え上手なところがたまらない」
とは、リョウマ談。
最初の激しい抵抗は何だったのかと、脱力するほどのデレぶりである。
しかし、私の目には、リョウマがティータの掌の上で、いいように転がされているようにも見える。
(まあ、女性の方がしたたかだと言いますし、これはこれで、幸せの形でしょうね)
私はそんな感想を抱きながら、まだ見ぬ七代目の子孫の誕生に、今から心躍らせるのであった。