先祖返りの町作り
第79話 増殖する家電製品
メイの結婚式から、少したった頃。
私は、再び新たな家電を開発していた。
次に考えたのは洗濯機である。
給水の魔道具とモーターの魔道具を合体させ、
穴の開いた円筒に、
洗濯物を入れる構造である。
排水は、お風呂のように栓を抜いて行う。
脱水機能は、水を抜いた状態で、
円筒を回す仕組みである。
また、洗濯用洗剤として、
洗濯機に向いた粉石鹸の開発も、
同時進行で行った。
5か月の試作期間を経て発売された、
「センタクキ」の魔道具は、
レイゾウコほどのインパクトはなかったが、
定期的に売れる定番商品となった。
その次に開発を目指したのは、
掃除機の魔道具である。
これをしようと思いついたのは、
(ワシがあるのですから、
紙パックが作れるはずです)
と考えたからだ。
風魔法を応用して、
吸い込む機能は、比較的簡単にできたが、
効率の良いホースの開発で、手間取った。
一般的な布で作ったホースでは、
布の目が粗過ぎて、効率が悪かったのだ。
こちらもやはり、5か月ほど試行錯誤を続け、
高級雨具の素材として使われる、
沼大蜥蜴の皮を利用する事で、完成した。
さすがに、手で持って使えるほどには、
軽量化できなかったが、
重たい業務用掃除機ぐらいには、収まった。
こうして発売された、
「ソウジキ」の魔道具もまた、
ヒデオ工房の定番商品となった。
(これで、白物家電は、
だいたい再現できましたかね?)
そう感じた私は、
これ以上の家電開発をいったん中止し、
高等学校の設立のための準備を中心に、
労力と時間を割くようになった。